夜中に目が覚める不安を打ち消す:少林寺拳法に学んだ「リーダーの心得」

クリニックの開院が間近に迫り、期待とともに不安も感じています。特に、院長としてリーダーシップを十分に発揮できるかという点が、夜中に目が覚めてしまうほど大きな心配事です。スタッフに目指す方向性を示し、教育し、クリニックの運営を円滑に進めるなど、リーダーとしての役割は多岐にわたります。そんな時、ふと学生時代に打ち込んだ少林寺拳法のことが頭をよぎりました。

少林寺拳法というと、空手のように突きや蹴りといった武道のイメージが強いかもしれません。しかし、開祖である宗道臣先生は、そうした「強さの魅力」はあくまでも入り口であり、真の目的は「リーダーを育て、社会に貢献する」ことだと教えていました。私も若い頃は強さに憧れて入門しましたが、次第に開祖の教えに深く惹かれ、関連する書物を読み漁ったものです。

開祖は、戦後の混乱期に「人の質を高めることが日本の立て直しに一番重要だ」と考え、香川県の多度津で道場を開きました。そこでは、世の中の荒くれ者たちを集め、徹底的に人間教育を行ったのです。「自己確立」「自他共楽」といった理念のもと、組織の運営方法や指導者としての心構えを教え、その教育システムを確立しました。今では少林寺拳法は世界中に広がる武道となっています。

実は、医学の勉強はそっちのけで少林寺拳法に没頭した6年間でしたが(少し恥ずかしい話ですが)、この経験から得たものは計り知れません。私のクリニックでは、この少林寺拳法の教えをヒントに、スタッフみんなが楽しく働き、知識や技術を身につけてキャリアアップできる、そんな場所を目指したいと考えています。

開院したばかりのクリニックは、例えるなら「白帯」です。しかし、数年後には「黒帯」のように地域に貢献し、多くの人から慕われる存在になることを願っています。少林寺拳法で学んだ「人づくり」の精神と「社会貢献」の志を胸に、これから始まるクリニック運営に全力で取り組んでいきたいと思います。この想いが、私自身のリーダーシップを育み、そしてクリニックの未来を切り開く原動力となることを信じています。